今一つ突き抜けないわけで

安いけど、安くは売らないよw

世界の傑作機No.156 第二次大戦ミグ戦闘機 (世界の傑作機 NO. 156)

世界の傑作機No.156 第二次大戦ミグ戦闘機 (世界の傑作機 NO. 156)世界の傑作機No.156 第二次大戦ミグ戦闘機 (世界の傑作機 NO. 156)
(2013/07/30)
不明

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というわけで、まーよくも出たわ、というこのテーマ。
本書のレビュー、僕が書かずに誰が書く、ともw

MiG-3以外に何があるんだろう、と思っていたら、口絵で試作機がガンガン掲載されていて、ちょっと驚き。


世傑が扱う領域がどんどん広がっていることを、僕は非常に好ましく思っていて、
飛行機というのは、軍用機というのは特に、国策と国益を賭けた非常に大きな事業であるわけで、飛行機そのものを扱う以上、これは無視できない。
この号、扱っているのは、ミグ設計局初期の航空機なのは確かであるんだけど、同時に、ミグ設計局を生み出した情勢そのものも扱っている。
本書に記述されていることから、筆者の言いたいことは良く判る。すなわち戦前ソ連という、戦争が押し迫りながら粛清を行わなければならなかった革命政府の、政府主導の変革なのだ。鳥養先生は言葉を選びながら、ルネッサンスと書かれているけれど、僕には日本語には存在しない言葉で表現される何かと思える。文革とは違うが、それに似ている。革命政府が集約させた権力を使って、組織を粛清刷新しようとしている。

それによって、ポリカルポフ設計局が基礎設計していた新型戦闘機の情報が、官側にもたらされ、それを若手に任せる体制を作った。選ばれたのがミコヤンであり、あまりに若く実績のないミコヤンを補佐するものとしてグレヴィッチが選ばれた。ミコヤンは党の有力者の弟であるとか、政治的信頼性も重視されたんだろうし。

だから、知られている通り、MiG-3には性能的に低いところがあった。
そこについては、空力的設計の面から、鳥養先生が指摘している。その源流についても、指摘していて、その指摘の行く末は、要するにポリカルポフの下で育った若手と実績を、ポリカルポフの下から切り離して新たな設計局を作らせた、ということだ。

書かれていることも実に面白いが、実は「書かれていることのさらに向こう側に示されていること」が実に実に面白い。執筆陣も、明らかにそれを意識してるように思える。そして、だからこそのこの第二次大戦ミグ戦闘機という体裁なのだろう。

なんというか、よくぞ出版してくれたというテーマだ。これまでのヤクやラヴォーチキン戦闘機を扱ってきた以上、三つの設計局を俯瞰する視点を扱わねばならない、というのが実にすばらしい。本書によって既刊はさらに高昇した視点を得ることになった。
まったくすばらしい。



さて、構成的にはいつも通り。
藤田氏による全体俯瞰があり、ポリカルポフ設計局からミグ設計局が生み出される前後の状況が示される。そしてMiG-3がポリカルポフの遺産として生まれ、当時のソ連機がそうであるようにエンジン換装型や抜本的な改設計型が試作されながら、結局は採用されず、しかしその形態はポリカルポフの欠点を是正してゆく、戦中ソ連機らしい正常発展を遂げていったものだとわかる。

構造とシステムも藤田氏によるもの。藤田氏は運用から見た構造とシステムという視点をしっかり保っている。ヤクやラヴォーチキンと比較して、ポリカルポフ的に保守的な構造であることを浮き立たせ、さらに諸外国との比較を示唆している。示唆以上ではないんだけど。

細部写真解説も藤田氏によるもの。模型向きの細部写真というより、構造と機能を示すもの。比較的あっさり気味なんだが、この機は構造的にも系統的にも独自技術でぶいぶいいわしてるタイプではなく、藤田氏自身がお書きになっているように、大推力エンジンで速度を獲得している機で、構造的にはポリカルポフ。

そしておなじみ鳥養先生のコーナー。
技術動向と、官側による指導、開発側の情報収集と概念開発あたりは、いつも通りの頼りになる記述。ミグ設計局というのは、充実した体制の開発局などではないわけで、むしろ官側、ソ連政府の開発体制刷新に言及が及んでいる。大審議会なんて、読んでいてニヤニヤしてしまうw 知られているように鳥養先生はXT-4開発にあたって、提案社の一つにおられた。そちらを思い浮かべてしまうのは仕方ないよね

書かれてはいないが、大いにどたばたと体制を拡大していった状況が、様々な不都合を見逃す結果にもつながっている。

人事やチーム構成の、当事者ではなく組織からの視点とか、実に面白い。軍用機という国家事業は、ようするに国家官僚組織という巨大な組織から見た、パフォーマンスチームの働きなのだから。
概念設計はポリカルポフの遺産、その概念設計自体について、通説を微妙に修正している。つまり、高高度エンジンを開発したのではなく、大パワーエンジンゆえに高高度でも必要な出力をなんとか保った、と。

本機に関わる操縦性の悪評についても、実によく解説されている。翼型がクラークY系列のクラークYHと聞いて、僕は大変驚いた。抵抗を減らすために薄翼とし、失速特性が悪化し、さらにポリカルポフの遺産の尾翼配置の悪さで制御しづらくなり、失速の前兆をパイロットが把握できない、と。
つづいてまた冷却系についても、滑油冷却系についても、その配慮の不足を示している。

また木製構造については、ヤク、ラヴォーチキン機と比較し、ポリカルポフ由来の手慣れた構造を示している。そう、MiG-3はポリカルポフの遺産なのだ。

MiG-3の闘いは藤田氏。藤田氏無双でもある。
おもしろかったのは偵察ミッションで、このような運用小史を実に上手に掘り起こしてくる。実によく資料を読み込まれ、また発展期の新機材が、現場のアイデアで活躍の場を広げてゆく様子を如実に示すものとなっている。

記事中の写真にはキャプションがなく、良い写真であるけれど、解説と共には使い辛かったんだろうなあなどと思う。それは仕方ない。当のロシア人だって良く知らないのだろうし。

MiG-3インアクションもまた藤田氏。
いつも通り、いつ、どこで、どのような、という解説を出来るだけ盛り込むようにされている。これのあるなしは大違いで、藤田氏の力量を感じる。
というか、世傑がソ連機をやり始める前は、思い込みなのか事実なのか判らないような質の低いキャプションばかりだったのだ。このように高い意識で書かれたキャプションと共に画像を見られるのは、大変な幸せなのだ。もちろん、不明なものは不明なままでいい。キャプション自体は非常に苦労されているようだけれど、その結果は十分なものと思える。

図面はアンドレイ・ヨルゲンソン氏によるもの。他機に比べればあまり開発の進まなかった機体だけに、変遷もシンプルにまとめられている。


そして、田村氏によるMiG-15に至るまでのミグ設計局機概史
これもよくやってくれましたと思う内容。今逃したら、もう二度とできなかっただろうけれど、よくやってくれました。
イギリスが官民の高い意識と共に比較的早期にキャンベラのような傑作機を作り上げたことに対して、ソ連とミグ設計局は、MiG-15に至るまでにかなりの道を歩んでいる。
そしてこれは既刊のMiG-15につながってゆくわけで、本誌の特異な立ち位置、既刊の情報を繋ぎ合わせて高昇する俯瞰を与える性格を、よく示していると思う。
編集の湯沢さん、毎度ながらグッジョブです。ホント、よくやってくれたとしか言いようがない。


まあ、こういう体裁であるがために、直接模型に貢献する、というあたりでは若干厳しい。
特に細部写真ガガガ、という人には全く期待にそぐわない可能性すらある。それは仕方ないとは思うんだが、個人的には、もうちょい判りやすい構造図があってくれるといいなあ、と。あるにはあるんだが、それぞれの記事補完のための図なので。

買って良かった度は3点満点中3点なのだが、なんというか非常に評価しづらい。
類書が無い、官民の関りや、ソ連のおかれた状況と言ったものをこれほど読みやすく示したものは無い、という意味で僕は非常に満足して、3点満点中3点を与えるべきだと思うのだけれど、
モノグラフ系のシリーズの中では割と異端であり、またモノグラフとしては合格だけど充実かというとそこまでではなく、しかし他では扱えない試作機を扱っており、と。

そういうときはチャレンジこそ評価して、3点!
★★★
とするべきだねw


しかし、シュツルモビク、ヤク、ラヴォーチキン、ミグと来てしまったら、あとは双発以上の爆撃機とかしか残ってないわけだが、期待していいんだろうか。
期待したい。ペトリャコフとか、ツポレフとか。
オナシャス、オナシャス!
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2013/11/09(土) 19:05:40 | | #[ 編集]
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